映画日々ロックのあらすじと感想!気づいたら泣いてた
公開日:2014年
あらすじ
金なし風呂なし彼女なし。ヘタレロッカー、日々沼拓郎が友人と共に結成したバンド「ザ・ロックンロールブラザーズ」。ある版、LIVEをしていた拓郎達の前に一人の女が台風のごとく現れた。
女の名は宇田川咲。斬新なスタイルでカリスマ的な人気を誇るデジタル系トップアイドルだ。咲の叔父が経営するライブハウスにお世話になっていた拓郎。
咲は叔父に毎月お金を渡しに来ていた。そこで出逢うはずのない2人が出逢い、物語が始まる。売れないがロックを愛する心は誰にも負けない”自由”な拓郎と、トップアイドルとして活躍しながらも本当は自分のやりたい音楽が出来ずに苦しんでいる咲。
正反対の2人はお互いに自分にないものを持っていた。咲のコンサートに招待された拓郎とそのメンバーたち。咲のやりたい音楽ではないにしても、そこにはたくさんのお客さんの歓声と感動があった。コンサート後、咲は拓郎にこう頼む。「お願い、曲書いて。私にはもう時間がないの。」
感想
原作の漫画を読んだことがないので、観る前は単純に主人公の青年とヒロインのアイドルの恋愛ものかと思っていたがその期待を大きく裏切ってくれた本作。
日々沼みたいな売れないバンドマンは現代にもたくさんいる。彼らは自分の好きな音楽を正直にやれていて、同じ思いのメンバーもいて、お客さんはまだ全然ついていないし貧乏だけど何とか支え合って生きていて見方によってはとても自由だ。
そしてそれとは対照的に咲みたいにやりたいことと大きく違っても世の中とマッチして売れていて、大観衆に喜びや感動を与えることが出来ている、
それも見方によっちゃ不自由だ。咲の本当にやりたい音楽とはエレキギターをかき鳴らす生音のバンドサウンドだった。そのなかで魂で叫ぶ音楽だった。
学生時代に咲がやっていたバンド、再結成しないのかと拓郎が聞いた時、「ひとり死んじゃったから無理」と言ったことや、拓郎に対して「お願い、曲書いて。私にはもう時間がないの。」と言った意味が、物語がすすむにつれて明らかになっていく。
咲はガン宣告を受けていたのだった。そういえば映画の最初の方で病院から出てきていた。でもこの展開はまったく予想していなかったし、咲がところどころで発していた言葉の点たちが、ガンで余命宣告を受けていたんだと事実が分かった瞬間、私の中で線になって泣けてきた。
病状が悪化し入院した時に、病院の窓に口紅で「It’s better to born out than to fade away」(徐々に色あせていくならいっそ前尽きたほうが良い)というニールヤングの言葉がとても印象的だった。美しかった。
衰弱していく意識の中で病院のベッドから咲が見たのは、向かいのビルの屋上で嵐の中「スーパースター」という咲に向けて書いた曲を熱唱する拓郎の姿。
ないものに惹かれ合う2人の話だったが、それは恋愛という甘っちょろいものではなかった。精一杯命を燃やしたぎらせながら生きていく2人の若者の話だった。