映画ヒメアノ〜ルの(感想・ネタバレ)他人事ではない世界観
公開日:2016年
映画の前半
冒頭は、少しコメディーな感じで笑いもある始まり方でした。ビル清掃会社の従業員である2人の何げない日常が描かれており、ムロツヨシ演じる安藤と濱田岳が演じる岡田の2人のやりとりがとにかくシュールでおもしろくて笑いました。
ムロツヨシの演技はいつもクセがあり面白いですが、ここでもかなりクセの強いオタクな男の役でした。はじめはとにかくこんな風にニヤっとしてしまうシーンが多く、ゆるーく物語が始まっていくのです。
安藤(ムロツヨシ)の密かな楽しみは、とあるカフェに通いつめることでした。その目的は、そのカフェでアルバイトとして働いている女の子に恋をしていたからです。
しかし、安藤と同じようにその女の子を目当てかのように通い詰める不審な男がある日突然現れてだしました。
その男も毎日そのカフェに通いつめて女の子を見つめています。安藤のようなヲタク感はなく、むしろ真逆でヤンキーのような強面の男です。
安藤は、その不審な男から女の子を守るため、清掃会社の同僚の岡田(濱田岳)に協力を求め、2人でカフェに通いつめ不審な男を監視することにしました。
岡田はその男の顔をみるなり、自分の知り合いだということに気がつきます。それは高校時代の同級生、森田(森田剛)でした。
森田は高校時代、過酷なイジメを受けていました。もちろん岡田もこのことは知っており、そのイジメを見て見ぬ振りをしていた人間の1人。
だからそこ喋りかけづらい、関わりたくないという気持ちがあったが、同僚の安藤の頼みでもあり、泣く泣く話しかけることにしました。
ここからが地獄の始まりなのです・・・
序盤とは裏腹に恐怖の映画
結局ネタバレとしては岡田とアルバイトのユカちゃんがカップルになってしまうのですが、はじめはラブコメのようなストーリーですこしキラキラしていたり青春だったり、初々しさもありちょっと羨ましく思えたりするシーンもありほっこりしていました。
安藤(ムロツヨシ)のあっさりした失恋シーンや、失恋後に病んでおかしな行動をとる芝居には思わず声をあげて笑いました。
現実世界でもあるような、安藤に気を使いながらも着々と交際を発展させだんだん愛が深まっていく2人の恋愛も生々しくてどこかリアルでした。
そんなラブコメのようなほんわかした雰囲気から徐々に恐怖へと繋がります。
こんな楽しい生活をしているみんなの中にあの森田が絡んでくるのです。じわじわと森田が迫ってくる感じも恐怖でした。
森田いわゆるサイコキラーです。人を○○○(自主規制)快楽を得るのです。これも過去のイジメが原因だったのです。
森田は過去に重大な過ちを犯しています。それは自分をいじめていた同級生です。森田はもう1人自分と同じように当時イジメにあっていた和草くんとタッグを組み、○○しました。
その時の快楽が忘れられなくて、次々の無差別に○○していきます。そのシーンがとにかく目を覆ってしまうほどグロテスクで吐き気がするほどでした。
とにかく言葉で表すだけでも気持ちが悪いシーンでした。
そのターゲットはだんだんと岡田たちに近づいていくのです。
森田が○○するために待ち伏せするシーンや尾行、とにかくこの現実世界でもあり得てしまいそうな他人事には思えないリアルな恐怖を味わいました。
もし自分が被害者だったら、、と想像すると足が震えます。被害者の恐怖感もあの演技力でかなりつたわりました。
また、森田剛のサイコキラー役は今まで見たことのない森田剛で、こんな幅広いリアルな役までできるのかと圧巻でした。
役者づくりのために痩せたのか、げっそりしていてとにかく異常さがシルエットでもわかりました。
現実世界にも、森田のように○○することにより快楽を得てしまう精神異常者はきっとたくさんいると思います。
ただ、なぜそういう風になってしまったのか、原因はなんなのか、過去に何があったのかなど、その人について詳しくは知らない。
むしろ知ろうとは思わないですよね。でもそういう点を周りが知ることのよりこういった最悪なことも防げる世の中になるのかな、と少し考えさせられるような場面もありました。
最後の森田のシーンはなぜか涙が出そうな、森田自身の孤独や苦悩が伝わるすごく悲しい気持ちになりました。
私自身は1回しか観ていないですが、何度か見ることにより見方が変わったり、ある意味すごい深い考えさせられるような映画なのかもしれません。
ただ、グロいシーンが多すぎて後味がげんなり、精神的にぐったりしてしまうのでもう一度みたいとは思えない映画です。
もちろん人を○○することは決してゆるされな。これは当たり前のことです。
結局、漫画を見たこともないので岡田が助かったのかどうかが不明で私自身もそこはすごく気になるところなのですが、物語としてはすごくよくできているなと関心してしまう映画でした。
また役者さんの素晴らしい演技にも脱帽です。去年みた映画で一番印象的でした。