映画愛と誠の感想!見てて振り回される映画
公開日:2012年
感想
可愛い武井咲
漫画原作であること、最初に公開された予告編CMなどで散々流されたミュージカルシーン、
歌のイメージがそんなになかった武井咲がコミカルに昭和歌謡を歌い踊るシーンはなかなかの衝撃で、
これがギャグなのか、シリアスなのかそのどっちにもなれなかった失敗作なのかと
大いに賛否両論盛り上がったと記憶している。
おそらく、シリアスなシーンは監督が三池崇史、原作が梶原一騎なことからして、
この映画ではバイオレンス描写がかなり激しく生々しいので
CMでは入れられなかったのもあるかと思う。
ストーリー上の主人公の救われなさから、精神的にしんどくなるようなシーンも多く
そんな中であの能天気でハッピーなミュージカルシーンは
一種のオアシスのような役割を果たしていてとても眩しくありがたく
そして武井咲がかわいく見える。
CMの印象と、本編を見た時の印象がまったく違うので
これを昭和漫画をナンセンスなギャグでリメイクした怪作だと思っていて
避けていた人はぜひ一度本編を見てほしい。
極から極への振り幅が忙しい
この作品が書かれた時代背景や原作者の生い立ちからして
主人公の置かれている状況はとてもハードである。
こんなにもか、ってほどにハードなことばかり起こる。
そしてそれにはほとんどヒロインが関わっている。
ヒロインは無力だけれど、その無力さを物ともせずに自分の信じる道へ
突っ走っていってしまう。そしていつも窮地に陥る。
一人でいたいと思い人を避けながら生きてきた主人公は
そうした主人公を救いたいと動くヒロインの行動にどんどん巻き込まれていく。
この極限状態の中に始まるミュージカルシーンは、とても効果的で、
感情の高まりと見事に一致してスピーディーで迫力を持っている。
けれどシリアスになり切らずに、少しやっぱり我に帰ると、ちょっとチープだったり
面白かったりするのもあって、作品のテンションに当てられて疲れてリタイアしそうになるのを
ぎりぎりで防いでくれる。
もう少しでやっぱりギャグになってしまう、というところで
油断させておいてとんでもなく精神的に重いシーンがきたりして
極から極への振り幅が忙しい。
でもそれがどんどん増してきて振り回されて
カタルシスになる。愛するしかなくなってしまう。ラストも潔い。
二度目は人によったらきついかもしれないけれど、一度は見ておいて損はない映画だと思う。